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2015年10月31日土曜日

ミラノ国際博覧会で日本館が世界に示したもの - 後進国日本

ミラノ国際博覧会で日本館が
世界に示したもの - 後進国日本

2015年10月31日、ミラノ国際博覧会は閉幕しました。

国際博覧会(EXPO、万博)、Wikipedia(>)によればこの国際イベントは『「国際博覧会条約によれば、国際博覧会とは「複数の国が参加した、公衆の教育を主たる目的とする催しであり、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用 することのできる手段又は人類の活動の一若しくは複数の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう。」とされて いる。』とあります。

さて、日本はこのイベントで一体何を世界にアピールしたのでしょうか。
これは日本館のイベントの一部です。
日本館は数あるパビリオンの中でも人気があったそうです。入り口には最大で6−8時間の長蛇の列があったそう。

「日本は50年先を行っている」
「日本はなんでも機能していて素晴らしい」
という声をイタリア在住生活の中でよく耳にします。聞こえのいい褒め言葉ばかりです。
私の答えは一つ
「本当にそうなのだろうか」

文明ばかり進んで、人と人との心はどんどん疎遠になっていっているのがよく見えるからです。
ある時、日本に帰国中、ローカル線の電車に乗りました。満席ですが、車内は立っている分には十分余裕がある状態です。私もわずかな乗車時間だったのもあり、立っていました。
そこへ老夫婦が乗ってこられました。
てっきり、誰かが席を譲るものと思っていたら、なんと車内の人々は自分の携帯を見るばかりで、そんなことに興味も示しません。これには唖然としました。

そして、このミラノ国際博覧会が終盤に差し掛かった時、日本のニュースサイトでこんな記事を見つけました。

『マタニティーマーク10年、世間の反感に自粛する妊婦も(>)』:内容転載
「妊娠中であることを示す「マタニティーマーク」を厚生労働省が定めて今年で10年目。全国の自治体が妊婦にキーホルダーなどのグッズ類を配布しているが、「反感を持たれそう」などと使用を控える動きが広がりつつある。同省は「本来の趣旨が理解されていない」として、より啓発に力を入れていくという。
11月出産予定の大阪市の会社員(39)は、母子手帳取得時に市からストラップを渡されたが、使っていない。「暴言や暴力の標的になるとネットで見て、怖くなった」。10月に出産した東京都の会社員(33)は使わず捨ててしまった。「電車で席を譲れと圧力をかけるようで気が引けた」
ピンクのハートに母子をあしらったデザインは、2006年3月に厚労省が公募で選んだ。おなかの目立たない妊娠初期ほど重いつわりに悩むケースが多く、配慮を呼びかけるものだ。他にも受動喫煙の防止や、体調不良、災害時に妊娠中と知らせる役割もある。鉄道など交通各社は優先席にマークを掲示し、お年寄りなどと同様に席を譲るように呼びかけている。
ギフト商品などを扱う藤田商店(岐阜市)は9年前から個人や自治体向けに20万個以上のマークの入ったマスコットを出荷してきたが、昨年から個人の申し込みが半減している。反対に「なぜ妊婦を優遇するのか」といった声が寄せられるようになった。
同社の担当者は「妊娠は病気じゃないのに特別扱いはおかしいとか、電車に乗るべきじゃないとか、ネットでは強い言葉が一人歩きし、妊婦さんを萎縮させている。マークの意義が正しく伝わっていない」と嘆く。
ベネッセコーポレーションが約9万部発行する季刊誌「初 めてのたまごクラブ」はマークの入ったオリジナルストラップを毎号付録にしている。以前は読者から「マークをより大きく」「目立つように」との要望が多 かったが、最近はむしろ「さりげなく、目立ちすぎないものを」との声が増えた。11年のデザインは横幅が10センチだったが、要望を踏まえ2回にわたって 縮小し、現在は5・5センチにまで小さくなった。」

残念ながら、この妊婦さん、また小さな子供連れのお母さんに対する理解のなさには、日本は本当に恥ずかしいレベルで後進国であるとしか言いようがありません。

イタリアでは対応はまるで違います(他、ヨーロッパ各国でも同じだと思われますが)
イタリアでは、妊婦さんたちはとても大事な存在です。社会が彼女達をとても大事に扱います。なぜなら、お腹には大切な子供がいるからです。とてもシンプルなことではないでしょうか。
妊婦さんたちの不安定な体調を誰もが理解しており、それを社会全体で大切に包み込んでいるのです。正直言うと、一部の理解のない日本人のように「反感」を持つ人たちは口をつぐんでその場から消え去っているのです。なぜなら彼らの言い分があまりにもおかしいからです。彼らこそが反感を買います。

イタリアでは、当たり前に行われていることを紹介しましょう。
例えば…
1. 地下鉄の車内などで妊婦さんを見かけたら、必ず席を譲る人がいます。
2. 地下鉄などの階段前でベビーカーを押す人がいたら、必ず誰かが手を差し伸べて、階段の昇降を手伝います。これはやりたい人がやるというより、すぐそこを一番に通りがかった人があたり前のこととして行います。
3.  ベビーカーを押す人が地下鉄の列車に乗ろうとしていたが車内はすでに満員だった場合。これも、ベビーカーのスペース分も考え、何人かが列車から降りて場所を譲り、次の列車へ乗ります。
4. そういうわけで、満員電車の中にベビーカーを押す人がいても、誰も気に留めません。日本のように「邪魔だ」と言う人は1人もいないのです。
5.  ベビー服などを扱っているお店では、妊婦さんはレジに並ぶ必要はなく、優先的に順番を回します。長時間立っていることは妊婦さんの体には良くないからです。
6. 町のお店、または小包の配達員さんでも妊婦さんと話す機会があれば、「おめでとう」と言ってくれ、配達員さんに至っては、アパートやマンションの入口で荷物を渡すのが普通なのですが「インターホンで言ってくれたら僕が荷物を家の玄関まで運ぶからね」と易しい一言も掛けてくれます。
7. 公共の乗り物に設けられている優先座席は常に必要とされている人のために空けられており、 万一満席でそこへ健常者が座っていても、優先座席へ座る権利のある人が来た場合はその席はすぐに譲られます。

これらは、日常で当たり前のこととして行われている事。だから妊婦さんたちも何も「すみません、迷惑をかけて」なんて訳の分からない謝罪をする必要もないのです。社会の中で重要な役割を果たしている身なのだから、「ありがとう」の一言で充分です。
日本では、これらのことはできているのでしょうか。
また、上記転載の「マタニティマーク」について妊婦さんたちが「マークを小さくして欲しい」なんて考えを持つことも大きな間違いです。妊婦さんはデリケートな体です。自分一人で気をつけていても限界があります。だからそのマークで周りにそれを気付かせる必要があるのです。 お腹の子供の為にも、無用なストレスは持つべきではありません。また回りにいる人も、妊婦さんたちに対してストレスを掛ける事があってはならないのです。

心貧しく、「邪魔だ」「私たちの時代は何もなかったけど、今の妊婦たちは物資も豊富で苦労が足りない」などと言えてしまう人たちは日本の恥部です。

さて、この話題をなぜミラノ国際博覧会とかぶせたのか。
ここには大きな理由があります。
非公式のミラノ国際博覧会のサイトがあります(>)
ここでミラノ国際博覧会日本館の紹介がされていました。
ミラノ国際博覧会の中でも人気の高いパビリオン、そこで振る舞われる純和食…と美しく語られています。



しかし、このページの最下にはコメント欄があり、ネガティブな内容が記載されています。

訳: 2015年7月2日
日本館はたくさんあるパビリオンの中でも人気が高いのは確かよね。私はEXPOに二日間かけて行ってきました。日本館の待ち時間は最低40分から1時間40分。日本館を訪れることが出来なくて本当に残念だった!
なぜなら私は妊娠6か月(日本でいう7か月です)。他のパビリオンと違って日本館だけは妊婦さんへの優遇処置は備えていなかったんだよね。館員は私に向かってこう言い放った「他の人と一緒に列に並んで下さい」
妊婦にとって暑い外で1時間以上列に並ぶなんてとても無理。それはとても危険で不可能な事だもの。さらに、館員はとても素敵な笑顔でこうも言った「他にいっぱいパビリオンあるのに、何でうちを見たいわけ?」
私は彼らに「あんたたち、なんて無作法な人たちなんだ!」と言って、他のパビリオンを楽しみましたよ!!!
日本館館員たちの態度は恥ずべきものだわ!

訳: 2015年7月4日
僕はEXPOに二日間行きました。奥さんといったのですが、みんなに知らせておきたいネガティブなお知らせがあります。
日本館、とても『称賛』されていますね。 でも僕の評価はネガティブです。
日本館の入り口に到着し、僕の妊娠中の奥さんとともに、妊娠証明書(イタリアでは存在します。温泉やこういった機関で必要となる場合があるからです)を入り口に担当者たちに見せました。すると、日の照る場所での終わりの見えない長蛇の列もあったことから、彼らは僕の妻だけを親切に通してくれました。「えこひいきは出来ませんから」と言いながら(僕はすでに理解不能です)。冗談言ってんのか?
日本館、アラブ首長国連邦館、アメリカ合衆国館以外は問題なく見れたけど、日本館のこの態度には本当に悲しくなった。おかげで僕の妻はうんざりしてホテルに帰ったぐらい。僕はこんな強引なルールによる差別には訴えさえもしたくなったよ。
本当のことを言えば、EXPOへ到着する前に妻とは9月の週末にもう一回行こうなんて話をしていたのだけれど、このおかげでそんな気持ちも削られてしまった。っていうかもう行きたくも無くなった。


訳: 2015年7月11日
妊婦を利用するんじゃないよ!レストランに行ったら生物食べれないからって特別に調理させやがって。買い物に行ったらたった5分も列に並んでられないって順番ぬかしやがって。ファーストフードでさえ、調理に注文付けやがるし。まるで他の客が生肉食べてるみたいじゃないか。お前ら、デリケートなんだろ、疲れてるんだろ。自分の権利ばっかり主張しやがって他の人の権利はまるで無視なんだろ。だったら家にいろよ!

訳: これに対する返答として 2015年7月11日
この無作法者、無知。とんでもなく嫌なやつ!
死ぬまで棒で殴られるがいい!

訳: 前述のコメントをふまえて 2015年8月10日
そうだよね。僕の奥さんも障害があるよ。でもスーパーのレジでは順番を待つし、長蛇の列や他の人が優先されている事にはムカつきもしない。でも、妊婦さんたちにとっては1時間の長蛇の列なんて待たされたら、そこで出産しちゃうかもしれないよね。



これらのことから、日本がいかに後進国であるかが見えたと思います。
周りが何もしないからと、自分もその中に紛れるのは間違いです。

一人ひとりの行動から社会を変えることが出来ます。今日から電車の中で携帯を見るよりは周りの人に興味を持って視線を向けましょう。携帯なんていつでもどこでも見ることが出来ます。
人に何かを与えることができれば、あなたの心もいい方向へ変わります。日本を後進国から発展させるための一歩を一人一人が担っています。



9 件のコメント:

  1. イタリアの都市と東京では電車の込み具合が全く違う。ラッシュアワーにベビーカーで電車を利用しようとする人はやはり非常識で自己中心的といわざるを得ない。だれも子供を生んでほしいと頼んでいません。自分たちの選択した結果です。どうしてもその時間帯に外出する必要があるなら、東京では車を利用すべきです。またイタリア人のマナーがそれほど良いとも思いません。なんでも欧米人のやり方をありがたがるのはいかがなものかと思います。

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    1. 最後の2行については同意できますが、それ以外のご意見については同じ日本人として恥ずかしいです。料金を払えば利用する権利は誰もが一緒です。あなたも世間に迷惑をかけながら大人になっているのですよ。誰もあなたの出生を頼んでいませんがね。他国のマナー云々の前に自国(自身)のマナーや認識を考えたことありますか?

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  2. この記事を拝見しましたが特に東京のラッシュアワーを特記しているわけではないのでは…。それに欧米人のやり方をありがたがっているという内容にも見えませんでした。よくお読みになったらいいのではと思います。
    しかも、車がないから電車を使用するんであって、わざわざ人に嫌がらせをするために自分の子供を連れて満員電車に乗り込むわけでもないでしょう。
    「だれも子供を生んでほしいと頼んでいません。」とおっしゃるなら、あなたも、あなたのご家族皆さんも、『誰にも頼まれてもいないのに生まれてきた』わけですね。
    それに、ご自分のご意見に自信があるのであれば匿名での投稿にはならないはずです。

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  3. 「だれも子供を生んでほしいと頼んでいません。自分たちの選択した結果です。」……先進国か後進国かという問題ではなく、これからの社会をどうするかという視点で考えてほしい。誕生する生命は親個人の私有物ではなく、構成する社会全体のものである。今後さらに進む少子高齢化=社会全体の新陳代謝の低下を考えたとき、未来のこの国を支えるにはどうすればよいか、を論じるべきだ。「だれも子供を」生まなくなったとき、いったいどんな未来が待っているというのだろう。

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  4. バケラッタ2015年11月1日 16:47

    「だれも子供を生んでほしいと頼んでいません。自分たちの選択した結果です。」……先進国か後進国かの問題ではなく、これからの社会をどうするかという視点で考えてほしい。少子高齢化=社会の新陳代謝の低下を考えたとき、子供は親の私有物ではなく、社会全体のものとして育まれるべきである。「だれも子供を」生まなくなったとき、いったいどんな未来が待っているというのだろう。

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  5. このブログの運営者の濱谷と申します。
    この記事に対して皆様よりコメントを賜り、御礼申し上げます。

    世の中には色々な考えを持つ方がいらっしゃることから、相反する意見も確認できます。この事から今後コメントを頂きます際、下記内容のみ、皆様にお願い申し上げます。
    どうぞよろしくお願い致します。
    現在のところ問題は確認しておりませんが、これから投稿を頂きます場合、品性を欠く表現や、わざと相手に嫌悪感を与えるような言い回しは避け、各々が最も適切であると思われる文章表現にて投稿下さいませ。
    投稿に対する返信にて品を欠いた口論となることだけはお避け下さいますようお願い申し上げます。
    何卒、よろしくお願い申し上げます。

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  6. >今日から電車の中で携帯を見るよりは周りの人に興味を持って視線を向けましょう。携帯なんていつでもどこでも見ることが出来ます。
    これは本当にその通りで、とても優しく素敵な言葉だと思います。

    日本にも至らないところは多々あるとは思いますが、日本人が昔より優しくないとも他国より思いやりがないとも思いません。
    「すみません、迷惑をかけて」の言葉に対して、相手はどの様に返したのでしょうか?
    席を譲るぐらいですから、きっと「いいえいいえ、いいんですよ」と返した思います。
    妊婦さんの言葉は、自分には謝罪ではなく寧ろ感謝の言葉の様に聞こえます。
    義憤に駆られ、このような記事を書くところを見るにつけ、正義感と優しさのある方なのだろうと思います。それだけに、この記事の伝え方が所々恣意的であるが故に賛同者は少ないであろう事が残念でなりません。

    返信削除
  7. 大多数のイタリア人の賞賛がある中、少数(妊婦さん)の批判ですね・・・どの事象でも100点満点を付けることはできず完璧ではない、と思った方がいいでしょう。不完全だからこそ、人間は精進していかなければなりませんから。

    日本やイタリアで妊婦さんに対する配慮が足らないということは確かに至らなかった点でしょう。日本の少子化への影響もこのことに起因しています。今後妊婦さんを含め女性が十二分に社会で活躍できるよう猛省し、日本社会を改善していく必要があります。そういう意味では浜谷さんに強く賛同します。

    しかしながら、浜谷さんがこのことだけを取り上げて「日本は後進国だ!」と我々の祖国を卑下するほど、日本は落ちぶれてはいません。貴女と同じく欧州に長期在住していましたが、先進国の中でも日本は非常に住みやすく安全な国家です。それは日本を含め世界のあらゆる団体が行う大規模な調査において、日本が常に上位にランクされていることからも実証されています。

    また日本人全てが妊婦さんに配慮がないとも思えません。ローマ=イタリア、ロンドン=イギリス、パリ=フランス、東京・大阪=日本ではないということは自明です。どこの国でもそうですが、都市から地方に行けば人はとても親切で世話好きで人情味溢れることが分かります。一部の悪い事象のみを取り上げて一般化し、それが全てであるような解釈は、日本の実態を見誤ることになり非常に危険です。報道されるニュースは主に悪い出来事であり、視聴者・読者の関心を引く出来事でもあることを留意しておく必要があります。イタリアでも同じで、一部の女たらしを見て全てのイタリア人男性がふしだらで怠惰であると解釈するようなものですね。

    貴女のこのエッセイーの結論としては単に「ミラノ万博において日本館が高く評価され閉幕したが、妊婦に対する配慮が足らないことに起因するトラブルが一部見受けられ、日本人として少し残念に思えた。」ぐらいで留めておいたほうが無難でしょう。それ以上一般化をしたいのであれば、実証データなど客観的な証拠を提示して読者を説得する必要が出てくるでしょう。

    返信削除
    返信
    1. これだけ書いて、ご自分の名前は「匿名」って説得力薄くないですか?なんだかもったいないですね。
      他の匿名者もそうですけど、匿名なら言いたいことは言えるけど、自分の名前を出すとなると書く内容は変わるんでしょうか。

      削除

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